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■野口レポート

No.205 相続と不動産業者のポジション (平成25年10月)

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五十路を前に家業(ガソリンスタンド)の廃業を決断し、宅建の資格を取り相続特化の不動産屋として再出発したのが昨日のように思い出されます。GS廃業からあっという間の20年でした。
他人からは華麗なる転身と言われました。だが、本人は人生をかけた死にもの狂いの転身でした。当時は相続ビジネスにかかわっていたのは税理士など一部の専門家で、町の不動産屋が相続に特化するなど考えられない時代でした。
不動産業に転業し最初の仕事は、元付業者(貸主側)の賃貸マンションへ客付業者(借主側)としてお客様を仲介し、賃料の1か月分(97,000円)を報酬としていただいた仕事でした。
GSで97,000円の利益を稼ぐには、給油の間に、窓ふき、灰皿清掃、ゴミの回収、タイヤの洗浄、最後は危険をおかし道路に出て車の誘導です。250台の車に同じサービスをして初めて得ることのできる利益です。
同じ97,000円でもGSで得た利益と、不動産屋として得た利益ではお金の重さが違いました。不動産業に慣れることは大事です。だが、染まってしまったら駄目になってしまう。この時の気持ちは今も忘れず心のなかに留め置いています。


土地が数十筆もある地主さんの相続は、難度の高い心臓外科手術のようなものです。いかに相続に精通した税理士(少ないです)に依頼するかが最大のポイントになります。
多くの税理士は相続税の計算をして申告をすることが自分の仕事だと思っています。相続の専門税理士は土地評価にも精通し「分割協議をサポートし、億単位の相続税を10か月以内に現金一括納付させる。」これが仕事だと思っています。
次は土地家屋調査士です。相続での調査士の仕事は測ることではありません。機器も発達し図面を作ること自体は難しい作業ではありません。土地売買契約の決済日までに、隣接地主全員から境界確定や越境物解消承諾書などの判子をもらい土地を商品化することです。残金決済ができ初めて相続税現金一括納付が可能となります。相続税納税は調査士の力量が大きく影響してきます。
次は相続登記の司法書士です。最後は倫理ある不動産業者です。地主さんの財産構成は不動産が圧倒的です。目的に合わせ、いかに不動産を動かせるかで勝負が決まります。つまり不動産業者は相続のコーディネートができる最適のポジションにいるのです。
最近は不動産業者も二極化しています。ネットワークを作り勉強を怠らず時代を先取りしていく人、手垢のついた知識や経験に胡坐をかいている人。相続に強い不動産業者を時代が求めています。海千山千の世界で零細業者が生き残るには、特化しその分野では地域オンリーワンになってしまうのもひとつの方法です。

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