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■野口レポート

No.228 不動産が負動産になる時代 (平成27年9月)

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不動産を英語でリアルエステートと言います。リアル(実在)エステート(地所)は、消滅も移動もしません。消費することもありません。だから土地には消費税が課税されないのです。土地は常に実在する最も安定した資産でした。
今この不動産に新たな問題が起きています。土地を捨てたいのだが何とかならないか、誰かもらってくれる人はいないか、市に寄付したいのだが、近年こんな相談を受けるようになりました。
◎「地方にある実家の田畑山林」都会に出ている子どもたちは、誰も相続したくありません。 
◎「温泉付き中古マンション」200万円でも売れません。タダでもらっても、所有しているだけで高額な管理費を取られてしまいます。管理費で温泉旅館やホテルに何回いけるでしょうか。
◎「原野商法で買わされた遠隔地の土地」登記簿に所有者として名前は載っているが、現場に行っても場所の特定すらできません。
◎「貸宅地」雨漏りなし、修理も必要なし、適正地代なら悪い商売ではありません。ただし、相続税が課税されなければの話です。税率50%の地主さんが貸宅地の相続税を、地代から取り戻すには30年もかかります。次の相続でまた同じことを繰り返します。


◎「空き家」社会問題にもなっています。流通しにくい土地上に存する空き家です。売れない、借りてくれない、取り壊せば敷地の固定資産税が6倍に跳ね上がる、まさに三重苦です。火災や落下物など事故が起きれば所有者の責任が問われます。
これらは不動産(資産)のように見えますが、実態は負動産(負債)です。しかも捨てることができないリスクを背負っています。
相続税は実態課税です。ならば負動産を負債(マイナスの財産)として資産から引いてくれてもいいのでは………。だが、お上は負動産にも容赦なく相続税を課税してきます。
土地を捨てるには、所有権を他に移さなければなりません。負動産だと思ったら、その時点で思い切って処分してしまうことです。ババ(ジョーカー)だと気づけば誰も引いてくれません。
最後の手段として「相続放棄」があります。相続人全員が相続放棄してしまったら、相続人不存在となり、利害関係人が相続財産管理人を選任し、債権者、特別縁故者、最後は国へ移します。
ただし、子が全員放棄すると相続順位が変わり、子の伯父や叔母や従兄妹(代襲者)が相続人となってしまいます。これらも考慮し専門家と十分な打ち合せが必要です。
また、相続放棄したからといって、それで解放されるわけではありません。次へ引き継ぐまでは、放棄した相続人は管理責任を負います。そして相続財産管理人への費用の負担も出てきます。いずれにしても土地を捨てるのは容易なことではありません。

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