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■野口レポート

No.124 あたりまえに感謝する (平成19年1月)

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「 古池や蛙飛びこむ水の音 」俳人松尾芭蕉の有名な作品です。
古い池にカエルが飛びこんで音がした。ただそれだけのことです。
芭蕉はこれを後世に残る名句にしてしまいました。
俳句の心得はありませんが、あたりまえの刺激を感動として受け止め、詠み手の心を“五・七・五”わずか17音で表現してしまう。ここに俳句の奥の深さを感じます。
歩道の街路樹に樹齢40年を越す「ゆりの木」が並んでいます。毎朝この落ち葉を掃いています。
晩秋から初冬にかけては、いくら掃いても後からあとからカサカサと枯れ葉が落ちてきます。この落ち葉に感謝しながら掃かせていただいています。
私のオフイスは夏には西日がまともに当たります。「ゆりの木」は枝を張り出し、大きく茂った緑の葉で強い日差しを防いでくれます。
冬になると葉を落とし、暖かな光を差し入れてくれます。
これをあたりまえと思うか、ありがたいと思うかです。掃除は多くの気づきと感受性を与えてくれます。
文句を言いながら掃くのと、感謝しながら掃くのでは、同じ掃除でも天と地の差が生じます。感謝して掃除やハガキを書くことは、人間力を高める修行の手段として最も適しています。


最近は地方からの相続相談や講演の依頼も増え、列車や飛行機に乗る機会も多くなりました。検札の車掌さんや、客室乗務員のお嬢さんには、ご苦労様、ありがとうございますと声をかけます。
料金を払っているのだから乗れるのはあたりまえかも知れません。だが、同じお金をあげるから九州や北海道まで歩いて行けと言われたらどうでしょう。これはとても出来ません。列車や飛行機はありがたい、それに気づけば自然と感謝の言葉が出てきます。
クレーン船が高圧線を切り、長時間に亘り停電が起きました。
冷蔵庫の中身が腐る、パソコンが使えない、文句を言う人は沢山います。だが、電気のありがたさに気付き感謝できる人は少ないです。
人格形成や人間力は一朝一夕に身につくものではありません。
日々のあたりまえに感謝する。この地味な訓練の繰り返しで一歩一歩積み重ねられていくものです。感謝の心は、謙虚な気持ちを生み出し、優しさ、真の強さを育み、人間力を高めてくれます。
“ボロは着てても心は錦”高級車に乗り、いくらブランド物で身を固めても、質素な物を身につけた人間力に勝る人には勝てません。
物から心へと、これからは人間力が勝負の時代になってきます。
俳句は四季のある日本だから、生まれ育った文化だと聞きました。暖かい、暑い、さわやか、寒い、「 春夏秋冬 」このあたりまえの
ありがたさに感謝です。
そこで一句 
「 感謝して 落ち葉掃く音 心地良く 」 おそまつ。

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