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■野口レポート

No.261 物でなく価値を売る (平成30年6月)

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お客様からの紹介でおばあちゃん(85歳)の相談を受けました。自宅の土地が、25年前に亡くなった父親名義のままなので、相続の手続きをしたいとのことでした。
相続人は妹が1人だけです。妹は姉が土地を相続することで気持ちよく遺産分割に協力してくれました。
司法書士をコーディネートし、相続登記をすれば済む問題と思われました。しかし、話を聞いていくうちに相続する土地上の建物は、おばあちゃんと別れた元夫の共有名義であることが分かりました。
おばあちゃんにはお世話してくれる人がいません。唯一血縁の妹も高齢でお世話はできません。頼りになるのは「お金」です。
1人暮らしが困難になったなら、相続した土地を換金し、老人ホームに入るのがベストです。しかし、土地の上には他人名義(元夫)の建物がのっています。このままでは売ることができません。話を傾聴していくと元夫は近くに住んでいるとのことでした。
元夫を訪ね事情を丁寧に説明し、建物の持分を元妻へ贈与してくれるようお願いしました。すでにわだかまりも消えており、贈与を承諾してくれました。固定資産税評価は低く贈与税の課税はありません。
これで土地と建物はおばあちゃんの単独名義となり、いつでも不動産を売却し老人ホームの入居費用に充てることが可能となります。


相続コンサルで一番大切なことは、一度頭から法律・税金・財産を外し、相手の幸せを心から考えてみることです。すると問題の本質が見えてきます。本質が見えれば何をすればよいかが分かります。
おばあちゃんへ幸せの道筋をつけることができたのも、話を傾聴したこと、相談者の幸せを心から考えたことです。問題を全て解決し、おばあちゃんから「神様だよ」と言われ手を合わせられました。
知人を介し相談を受けました。相談者は高齢(83歳)の女性です。
18年前に母親が亡くなりました。まだ相続手続きをしていません。相続人は56年間疎遠で父親の異なる妹1人とのでした。
遠隔地に住んでいる妹へ会いにいきました。妹(72歳)は姉が56年間連絡をくれなかったこと、母親が亡くなったのを知らせてくれなかったこと、誤解も重なり何をいまさらと立腹しています。孫の代まで憂いが残ると説得を重ね、何とか合意することができました。
だが姉には会いたくない、ハンコは押すから野口さん1人で来てほしいとのことでした。それではこの相続を引き受けた意味がありません。目的は相続を機に疎遠であった縁を取り戻してあげることです。
何とか妹を説得し、姉と一緒に遠隔地に出向きました。こちらがお姉さんですよ、こちらが妹さんですよ、と紹介しました。
56年目の感動の再会です。姉はこれまでのことを詫びました。わだかまりはとけ、署名押印も無事に終わりました。単に相続手続きで終わったら物を売っただけ、縁を戻したことで価値を売ったことになります。
物を売るか、価値を売るかでは大きな違いです。これからの時代、いかに付加価値を売ることができるかが勝負です。

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