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■野口レポート

No.152 期待に応えて期待を裏切る (平成21年5月)

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人気グループ「SMAP」のメンバーの一人が、お酒を飲み過ぎ裸になってしまい「公然わいせつ容疑」で逮捕されました。
儲かりさえすればよい(視聴率が稼げる)とばかり、テレビや新聞などのメディアが一斉に群がってきます。遅れてならぬと、一国の大臣までがそれに輪をかけてきます。
自分をコントロールできなくなるほどお酒を飲んで、裸になった彼は決して褒められるものではありませんし、時間は戻すことができません、大事なのはその後です。
“他人の不幸は蜜の味”他人の不幸をよろこべる人は山といます。だが、他人の痛みを我が痛みとし、他人の幸せを我が幸せとし、よろこべる人は数少ないです。
子供の頃、なかよしのA君と近くの多摩川に釣りにいったことがありました。ポイント(魚の居場所)があたり、面白いように魚が釣れました。ところが、途中でA君の竿が折れてしまい、魚はあまり釣れなくなりました。
私の方は変わらず釣れています。だが、少しも楽しくありません。自分の竿を縮めA君と同じ長さにしました。当たりは少なくなりましたが、2人で楽しい釣りをすることができました。「相手の立場に立ってみる」このことは相続の仕事でも必要となります。


荷物(財産)の大きさは違っても相談者や相続人にとってその重み(悩み)は同じです。ここを理解して差し上げることは相続の実務家としては大事なことです。
昨年の相続で、今年相続税を納める地主さんは最悪です。路線価上昇と地価急落の乖離をまともに受けます。加え、不動産事情の悪化、取りあえず物納の不可。まさに前門の虎(遺産分割)後門の狼(相続税)です。本家相続人の心労は極限に達します。
相続人の痛みを我が痛みとしなければ、良き仕事はできません。だが、常に痛みを共有してしまったら、地主相続が3件続いたらこちらの命がもちません。ここをコントロールすることは相続の仕事を続けていく上で不可欠です。
資産家の相続争いほど世間の人がよろこぶことはありません。自分にまったく痛みを感じない他人事です。まさに“他人の不幸は蜜の味”です。高所の見物を決め込み、今かいまかと期待しています。揉めてしまったら世間様は大よろこびです。
幸せは手に入れるものでなく、感じるもの気付くものです。ほとんどの相続人は自分の幸せに気付きません。親の財産をもらうのはあたり前だと思っています。これが争いを生みだす根元です。
感謝を忘れ欲得を通したら、後でお金では得るこのとのできない大切な財産を失います。気付いたときは遅かりしです。
相続コンサルは愛と忍耐力を必要とする地味な仕事です。そして、いかに相続人様の期待に応え、世間の期待を裏切るかです。

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