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■野口レポート

No.155 迷ったら損を選ぶ (平成21年8月)

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遺産分割で財産を多く取得した相続人が、自分の財産の一部を他の相続人に渡し、バランスを調整する分割の仕方を代償分割といいます。渡す財産がお金なら「代償金」になります。少額なら俗にハンコ代とも呼ばれています。
父親の相続で長男さんから相談を受けました。母親はすでに他界しており、相続人は長男と二男の2人です。
長男は家を出て大手の企業に勤めています。二男夫婦が家業の食堂を継ぎ、同居の母親と父親を看取りました。
遺産は店舗兼居宅の土地建物と預貯金です。相続税の課税はありません。親の面倒と家業を継いでくれた二男夫婦に感謝し、長男は財産を譲りました。
遺産分割協議書の調印も終わり、二男が全財産を相続しました。しばらくし、兄貴これは俺の気持ちだと、二男が500万円ほどの現金を持ってきてくれました。これが贈与になるかとの相談です。
単に、気持ちとして受け取ったお金や、ハンコ代では贈与となり一定額(110万円)を超えると贈与税の対象となります。
気持ちやハンコ代は、遺産分割での代償金として渡せば贈与にはなりません。遺産分割協議書のなかに「500万円を代償金として払う」と、加筆し明記しておくことをアドバイスしました。


「ハンコ代の相場を教えてほしい。」これもよく聞かれます。相続は人の顔が違うように、同じものは何ひとつありません。財産、家族構成、相続人の考えや状況により異なります。だから答えはありません。あえて言うなら時価です。
ただし、ハンコ代を200万円にしようか、100万円にしようか……。代償金にしても、2,000万円にしようか、1,000万円にしようか……。払う相続人が迷っているときは、自分に損な方を選ぶことをアドバイスします。
葬儀の香典で、5,000円でいいか、いや1万円にしようか、迷った経験をお持ちの方もいると思います。迷った時は1万円(自分に損な方)を包んでください。 
相続人Aさんは、借金コンクリートのピカピカマンションと、築年数20年の木造アパートと、どちらを相続したらよいか迷っています。迷っているなら自分に損な方を選びましょうとアドバイスし、Aさんは木造アパートを相続しました。
それから数年が経ち、不動産事情は様変わりしました。Aさんが相続した木造アパートは天下無敵の無借金(金の成る木)です。競合物件に賃料も対応できるし、固定資産税やメンテナンスの負担も少なくて済みます。Aさんの手元にはお金が残っていきます。
何事も、迷って判断ができないときは、自分に損な方を選んでください。事が円滑に進み、将来の幸せにつながります。「損(譲)して得(徳)とる」先人が長い経験から得た珠玉の名言です。

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