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■野口レポート

No.159 三度目の警鐘! 坂の上の雲 (平成21年12月)

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11月29日(日)から、NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」がいよいよ始まりました。作者の司馬遼太郎さん40代の作品で、10年間を費やした歴史小説の大作です。
日本は明治維新をなしとげ、近代国家への一歩を踏みいれました。日清戦争から10数年、日本とロシアの激突はもはや避けえない。
この時期に活躍した3人の男がいました。文学に大きな足跡を残した正岡子規。日露戦争において最強のコサック騎兵を破った日本騎兵生みの親、秋山好古。日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を撃破した連合艦隊参謀、秋山真之。この歴史小説はこの3人を中心に、明治の群像を描いた壮大な物語です。
以下は単行本「坂の上の雲」より抜粋です。

 明治維新を遂げ、近代国家の仲間入りをした日本は、息せき切って先進国に追いつこうとしていた。
 明治三十七年二月、日露は戦端を開いた。
 豊富な兵力を持つ大国に挑んだ、戦費もろくに調達できぬ小国……。
 戦場の秋山兄弟も苦戦、苦慮する。
 靭な旅順要塞の攻撃を担当した第三軍は、鉄壁を正面から攻めたておびただしい血を流しつづけた。
 ロシアの大艦隊が、アジアを目指し発航した。旅順の要塞は依然として陥ちない。
 “本日天気晴朗ナレドモ浪高し”明治三十八年五月二十七日早朝、
 日本海にロシア帝国の威信をかけバルチック大艦隊がついにその姿を表した。


10年ほど前この文庫本「坂の上の雲」を読みました。全八巻を読み終えた時、鮮烈な余韻が残りました。秋山兄弟や、日本を救った初老の将軍、児玉源太郎のことも初めて知りました。
私欲でなく公のために生き死んでいった人たち、尊敬と思いやる家族の心、国を愛する心、正直な心、今の日本人が忘れてしまった大事なものに気づかされます。
国や組織のなかで、能力とセンスに欠ける人間が上に立つことの怖さ、その下で動かざるを得ない人たちの辛さも教えてくれます。
「坂の上の雲」は昭和43年から47年の約4年間に産経新聞に連載されました。その後、平成11年から半年間集中し「今読み返す坂の上の雲」と題して、産経新聞に再度連載されました。
「今読み返す」このタイトルを何故つけたのか、近年の荒んだ世相や汚れた人心、「今こそ読み返し日本人の心をとりもどせ!」との深い意味があったのではないかと思います。
司馬遼太郎さんは、日本人がすでに忘れてしまった「気迫」「信念」「気品」を気づかせるため、この歴史小説を通し警鐘を鳴らしてくれたのではないでしょうか。
「坂の上の雲」は新聞に二度掲載され、そして今度はテレビドラマと、日本人に対する三度目の警鐘のような気がしてなりません。

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