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■野口レポート

No.168 現代社会と遺言の新たな役割 (平成22年9月)

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生きているはずの111歳の男性が、家族と住んでいた自宅で白骨化し、遺体となっていることが発覚しました。この事件が発端となり、100歳以上の所在不明者が、続々と表面化してきました。
行方不明者届(旧家出人捜索願)が出され、警察が受理する件数は1年間で8万人前後にもなります。そして、長期間所在の分からない行方不明者もかなりの数になります。届け出の無いものも含め、累積したらその数は膨大なものになるでしょう。
Aさんから相談を受けました。推定相続人(将来の相続人)の息子さんの車輛が山中で発見されました。だが、未だに行方が知れません。最近母親の夢枕に息子さんが立つとのことです。生死が確認できなければ息子さんは行方不明者です。
もしAさんが亡くなり相続が開始したら、遺産分割ができません。行方不明者も相続人です。一人でも抜いたら遺産分割は無効です。遺産分割は相続人全員が合意し初めて有効に成立します。
不動産の名義変更、預貯金の取り崩し、税法上のメリットも受けられません。失踪宣告(7年以上不明)や、不在者財産管理人を選任するなど方法はありますが、煩雑な手続きに時間と費用がかかり、他の相続人にとって、経済的、精神的な負担となります。


Yさんが83歳で亡くなりました。残された奥様が認知症を発症しています。もし、相続人のなかに認知症の人がいたら、成年後見人を立てなければ、こちらも遺産分割ができません。
長生きすることはありがたいことです。だが、それは配偶者も高齢化し、認知症の可能性が高くなることを意味します。
現在の成年後見制度では、相続だけの後見はできません。認知症の人が一度被成年後見人として登記されたら、本人が亡くなるまで日常に必要な行為にも後見が必要となります。そして、後見人も一度引き受けたら途中で辞めることができません。
また、病んだ社会では自殺や行方不明者も増え続けております。相続人がブルーシートで暮らしていたら所在の確認は不可能です。
状況によっては、行方不明者や認知症に対する相続対策が必要となります。それは遺言(公正証書遺言がベスト)の作成です。
専門家に相談し遺言で、行方不明者や認知症を除いた相続人全員に、財産を特定もしくは包括して遺贈しておけば、相続手続や相続税納税も円滑に行うことができます。
長寿社会や病んだ世相は、相続に新たな問題を投げかけてきます。
遺言は、単に相続争いを防ぐだけでなく、行方不明者や認知症が絡む相続にも対応できることを知っておいてください。 
「遺言を作りましょう」この一言のアドバイスが大切です。決めたら即実行しましょう。迷っているうちに推定被相続人(遺言者)が認知症を発症してしまったらもう何にもできません。

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