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■野口レポート

No.172 相続税ついに大衆税の時代へ (平成23年1月)

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相続対策は、大きく分類すると次の三つになります。

◎不良資産などを整理し財産を分けやすくしておく。遺言や付言などで、相続人が揉めぬようにしておく、「遺産分割対策」。

◎遺産分割対策と整合性を取りながら、10カ月以内に全員が相続税現金一括納付ができるよう、土地などを商品化(即換金できる状態)し、納税資金のメドをつけておく、「相続税納税対策」。

◎現金を賃貸建物に組替える資産組替や、財産評価の圧縮、生前贈与の活用など、相続税を減らす「相続税節税対策」。

ところが、この三つの対策は性質が異なり同じ方向を向きません。そして、専門家と言われる多くの人は節税対策に関わっているのが現状です。だが、税法は生き物です。税制が大きく変わってしまったら、既存の節税対策は一瞬にして効果を失う恐れがあります。
また、相続の開始(人の死亡)は天の領域であり、神のみぞ知る世界です。人間が定めることは出来ません。
「対策が同じ方向を向かない」「対策に既得権が無い」「相続の開始は定めることが出来ない」ここが相続対策の難しいところです。
昨年12月に政府税制調査会による平成23年度税制改正大綱が閣議決定され発表されました。本来ならこれで決まりです。


だが、現状は「ねじれ国会」です。法案が国会を通りこのまま成立するかどうかは今後の与野党間の折衝に委ねられます。
今回の相続税制改正大綱を見ると、エッ!ここまでやるか、の感があります。相続税基礎控除40%の圧縮、生命保険非課税枠まで改正が入りました。改正が通れば相続税は大衆税になります。
昨年の小規模宅地特例の改正で外堀を埋められました。そして今回の本丸(基礎控除)突入です。小規模宅地特例の改正と重なり、地価の高い都市圏に住居を構える一般庶民を相続税が直撃します。
法案が成立したら4月1日以降の相続や遺贈から適用となります。
都市近郊に住み、相続人は配偶者と子供2人(生計別)、相続財産は自宅建物と敷地30坪、預貯金等が2000万円、生命保険受取金が1500万円、これまでは相続税に全く無縁の家庭です。改正案が通れば基礎控除が一気に圧縮され課税対象となります。
また、改正前は相続税申告が不要であった人でも、配偶者の税額軽減や他の特例を受けるためには、相続開始後10カ月以内に遺産分割を成立させ、申告をする必要が出てきます。
だが、一般庶民の間には相続税など、一部資産家の問題との意識が根づいており、今回の改正に対し、反応が鈍いのが気になるところです。100万円単位の相続税でも庶民にとっては大金です。事の重大さに気付き思い知るのは親が亡くなった時です。
ビジネスチャンスだと、多くが相続市場に参入してきます。信頼できる専門家を「選ぶ目」を養っておくことも立派な相続対策です。

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