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■野口レポート

No.173 親孝行が最大の相続対策 (平成23年2月)

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昭和22年に家督相続から均分相続に相続制度が変わりました。だが、しばらくは家制度思考が文化として残っており、長男が同居し親の面倒を見るのは当たり前でした。
家族全員が円形の卓袱台を囲み夕げについたものです。貧しい時代でしたが、人の心は今とは比べものにならぬほど豊かでした。
核家族の現代、周りを見ても親と同居している人は少ないです。
相続税小規模宅地の特例のなかに、特定居住用宅地等の特例があります。相続で取得した自宅の敷地約73坪(以下73坪)までは、更地評価から80%減額してくれる特例です。
配偶者(無条件)もしくは親と同居している相続人が一定の要件を満たせば、親の住んでいる自宅敷地の更地評価1億円が2000万円となります。まさに相続税の大バーゲンです。
この特例で、地価の高い都市圏に自宅を所有している課税対象者でも、一般的な財産構成ならば相続税の心配はいりませんでした。
また、配偶者が自宅敷地をほんの一部でも相続すれば、73坪までは80%の減額となりました。同居していない相続人が相続しても約60坪(以下60坪)までなら、50%を減額してくれました。
また、ビルの一室やワンフロアを自宅として使用していれば、ビル全体の敷地73坪までは80%減額です。都心の一等地なら4億円の更地が何と8000万円の評価で済んでしまいました。


ところが昨年この小規模宅地の特例に大きな改正が入りました。実際にはもう少し複雑ですが、簡単にポイントを述べてみましょう。
◎父親の相続で自宅敷地73坪まで80%の減額を受けられるのは配偶者もしくは同居の相続人が相続したときのみとなりました。
◎別居相続人が相続した60坪50%減額も廃止で更地評価です。
◎配偶者が自宅敷地を一部でも相続すれば適用になった、73坪ま で80%減額も不可となり、相続した面積のみに適用です。
◎所有したビルの一部を住居とした場合、ビル全体の敷地73坪まで80%減額も不可となり、住居部分の面積按分となりました。都心でこの特例を使い節税対策をした人は窮地に追い込まれます。
この特例は、長年連れ添ってきた配偶者や、同居し親の面倒をみている孝行息子に与えられるご褒美です。小規模宅地の特例が本来の正しい姿に戻ったともいえるでしょう。
特例を受けるには、相続開始後10カ月以内に遺産分割を成立させ申告をすることが原則です。孝行息子が自宅を相続し、円滑に申告ができるよう、公正証書遺言でサポートしておきましょう。
今後、都会では「相続税には縁遠い」と考えていた人が課税対象になるケースが続出します。ビジネスチャンスとばかり、節税対策を提案してくる業者やコンサルタントが増えてきます。
節税対策は「自己責任」だということも忘れてはいけません。

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