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■野口レポート

No.117 新贈与は生前の遺言執行 (平成18年6月)

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「いつもお世話になります。つまらない物ですがほんのお印です」「これは、これは、ご丁寧にありがとうございます。」 盆暮れにどこでも見かける中元歳暮の光景です。
ほんのお印です(申込)に対し、ありがとうございます(承諾)があり、双方の意思が一致(合意)し、契約が成立します。契約書は交わしませんが中元歳暮も立派な贈与契約です。
3年前この贈与に新たな制度が創設されました。相続時精算課税制度です。65歳以上の親から20歳以上の子へ、要件を満たし申告すれば2,500万に達するまでの贈与は非課税です。
同一人への以後の贈与は、例え1,000円でも10億でも額の如何を問わず一律20%の贈与税が課税されます。この贈与は税務の計算上、相続時に贈与時点の時価で親の遺産に戻され、合算し相続税が算出されます。
すでに納税済の20%の贈与税は相続税から引かれ精算されます。もし、贈与時点より資産の価値が上がっていたら節税効果、下がっていたら増税効果が生じます。
贈与された財産を親の遺産に戻しても、その合計が相続税基礎控除以下ならば納税した20%の贈与税は戻ってきます。
相続税の一部先払いだと考えれば実質的な生前相続も可能です。また、遺言作成にともなう遺留分放棄の代償としても使えます。


地元で行なわれた行政書士団体の遺言セミナーに行ってみました。広い会場は老若男女で溢れんばかり、想定外の盛況で主催側もてんてこ舞いです。遺言に対する意識が確実に変わってきています。
遺言の相談が増えてきました。相続は出口(子)が大切です。ヒヤリングを十分に繰り返し、相続を受ける立場を考えプランを作ることが重要です。その後で公証人に遺言作成を依頼します。
状況によっては遺言でなく新贈与で対応することもあります。
実家の土地を娘のAさんが使用貸借(無償)し、その土地にご主人がアパートを建て、夫婦はその一部にお住まいです。父親が遺言を作りたいとのことです。使用貸借している土地の評価は約2,300万です。この土地は遺言でなく、相続時清算課税制度を使い贈与を受けておくことをアドバイスしました。
Aさん夫婦には子どもがいません。もし父親より先に奥さん(娘)が亡くなったら遺言はなかったものとなります。生前贈与を受けておけば、万一の場合ご主人は配偶者相続人として、遺産分割のテーブルにつき、アパートの底地を相続することができます。
新たな贈与制度の創設により、生前贈与を使う機会も増えてきました。大きな財産を移せる新贈与は、生前の遺言執行と同じです。後の無用なトラブルを避けるために、贈与契約書に付言(親の気持)を添えておきましょう。
ちなみに、相続時精算課税制度で贈与を受けた子は、年間110万まで非課税となる従来の暦年贈与は使えなくなります。

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