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■野口レポート

No.277 弁護士との連携 (令和元年10月)

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骨肉を争うような本当の相続争いは世間の人が思っているほど多くありません。多くは兄弟喧嘩のレベルです。この段階なら身近にいる相続アドバイザーなどがサポートして差し上げれば、まだ相続人が自分達の力で解決することができるでしょう。
だが、テーマが「相続」なので相続争いと思い込んでしまい弁護士事務所へ行ってしまうことがあります。弁護士のところへ行けば法律問題になってしまい、本当の相続争いに進展してしまう可能性があります。
常識と法律は一致するとは限りません。そして常識は法律には勝てません。円満相続のポイントは相続を法律問題にしないことです。
ただし相続問題で弁護士に依頼しなければならないことはあります。
◎遺留分減殺請求に関する問題、◎相手が弁護士をたててきた、 ◎感情がこじれお金の問題ではなくなってしまっている、◎生前に預貯金を下ろされ不当利得されてしまった、◎何度連絡をしても一切何の連絡もこない、これらの問題は迷うことなく弁護士へ依頼します。ここは法律で裁いてもらうしかありません。
ただし弁護士に丸投げでなく、アドバイザーが潤滑油として間に入り、弁護士が仕事のしやすくなる環境作りや、依頼者の不安を和らげるなどサポートしていく必要があります。
なかには弁護士に頼めば何でも思い通りになると誤解している人もいます。いくら弁護士でも理不尽なことは通りません。


時として弁護士が苦労するのは相手方より依頼者のほうです。依頼者に弁護士に対し正しい認識を持っていただくことも必要です。
ある大地主がいます。奥様と離婚し再婚しました。先妻との間には娘Aさんがいます。後妻との間には息子がいます。
年月がたちAさんも40代になりました。父親が亡くなりました。相続人は、Aさん、後妻、その息子です。
父親は信託銀行で公正証書の遺言を作っていました。内容はひどいものでAさんの遺留分を全く考慮していません。まるで遺留分減殺請求(現遺留分侵害額請求)をしてくれと言っているようなものです。
遺産の8分の1がAさんの遺留分になります。収益物件を含め多くの不動産があり、8分の1とはいえ半端な額ではありません。
信託銀行は「うちは遺言を執行していきます。遺留分減殺請求にはタッチしないから、そちらでやってください。」との冷たい対応です。
幼い頃に両親が離婚しAさんは父親を知りません。父の子である証に遺産の一部をいただければとの思いだけです。預貯金の一部のみを減殺請求することをアドバイスし、後は弁護士に託しました。
Aさんが譲ったことで、この相続問題は一切もめることなく早期に解決しAさんはもとより後妻側からも感謝されました。
弁護士は法律のプロ中のプロです。弁護士と素人ではどうしてもギャップがあります。弁護士との面談には必ず同席し依頼者をサポートします。ただし資格に人格を兼ねそなえ、アドバイザーと信頼関係が確立している弁護士を選ぶことが重要です。

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