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■野口レポート

No.314 相続人への手紙 (令和4年11月)

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「相続人様各位 突然にお手紙を差し上げる失礼をお許しください。先般、令和4年5月6日に山田花子様(仮名)のご主人の山田太郎様がご逝去されました。心よりお悔やみと太郎様のご冥福をお祈り申し上げます。
この度、ご縁がありまして奥様の花子様から依頼を受け、太郎様の相続手続きを進めている相続アドバイザーの野口賢次(弁護士ではありません)と申します。
太郎様ご夫妻には子どもがおりません。よって相続人は配偶者の花子様と太郎様の兄弟姉妹になります。相続人様は全血兄弟が3人と代襲者が3人、半血兄弟が2人で花子様を含め全部で9人です。財産と債務、各人の相続分の内訳は別紙に記載しておりますのでご確認ください。なお相続税の課税と申告義務はありません。
つきましては相続人皆様のお考えを伺いたく回答書を同封しております。①相続を辞退する ②自分の相続分を相続したい ③その他とあります。該当欄に☑を入れていただき、かつ屈託のないご意見を伺えればありがたく思います。
花子様はご主人に先立たれ、これから独りで暮らしていかなければなりません。頼りになるのは預貯金です。それらの事情も考慮いただき回答を頂戴できればと思います。


遺産分割協議が成立するまで預貯金は凍結されており、下ろすことができません。長引くと生活費等の工面にも支障をきたします。
1人でも判子が揃わなければ手続きができません。預貯金の払戻しをするためには相続人様全員のご協力が欠かせません。
これらの事情をお察しいただきご協力のほどよろしくお願い申し上げます。なお回答書はこの文書到着後10日以内までに投函してくださればありがたく思います。」  
 ◎相続アドバイザーが相続人へ出す手紙のポイントです。
①弁護士でないことを明記する ②余計なことは書かない ③明確かつ丁寧に ③法律用語は使わない ④下手でもよいから心で書く ⑤ダイレクトメールと間違われゴミ箱に捨てられないように、宛名の下に「山田太郎様相続の件」と明記する。
自宅の土地建物を取得する花子さんは、自分の相続分を使い切ってしまいます。が、今後を考えると少しでも多くの糧が必要です。はたして他の相続人の理解を得ることができるかどうか。
花子さんの人柄や手紙が功を奏し、相続分を主張したのは2人だけ、他は辞退し譲ってくれました。その2人も他の兄弟が辞退したことを知り、最後は気持ちよく譲ってくれました。
飛び込みで相談に見え、私を信頼し任せてくれた花子さんのお役に立てよかったです。全ての仕事が無事に完了し、花子さんには心から「ありがとうございます」と感謝されました。相続アドバイザーとして冥利に尽きる瞬間です。

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