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■野口レポート

No.134 誰を知っているか (平成19年11月)

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ある土地資産家の分家Bさんから電話が入りました。父親が亡くなり5か月が過ぎたのに、本家Aさん(長男)から遺産分割の相談がありません。相続税の概算納税額もまだ出ていません。不安だから相談に乗ってほしいとの話でした。分家さんの話を聞くと、遺産は悠に20億を超える額と思われます。
ほとんどが土地で現金はありません。地主といわれる人は財産のなかに土地が占める割合が多く、お金持ち(現金)ではありません。だから資産家でなく土地資産家と呼ばれています。
財産が全部現金なら相続税など怖くありません。いくら取られても半分は残ります。財産価値に差がないから遺産分割もスムーズに進みます。相続税の財産評価も簡単です。
しかし、本家の財産構成はほとんどが土地です。地主相続の一連の作業は外科手術のようなもの、内科のお医者さん(所得税や法人税)では無理があります。資産税や不動産に精通した税理士が求められます。土地の財産評価は判定が難しく、相続税額も税理士によって違ってきます。
しかも相続税は10か月以内に現金一括払いが原則です。高額な延納は必ず行き詰まります。物納も先般の改正で難しくなりました。方向を誤ると相続人の人生すら変えてしまいます。


適切なアドバイスを欠き、無理な延納に端を発し、スローモーションを見るように崩壊していく旧家も見てきました。
本家の流れを見ると、税理士のリードがありません。残りの時間は限られています。Aさんを説得し、ネットワークから相続に精通した税理士を選び、途中でバトンを引き継ぎました。
チームを組んで、相続税額の算出、遺産分割の調整、土地換金作業も同時進行させ、何とか申告期限(10か月)までに相続税を一括納付することができました。
本質をつかみ方向を定め、必要な専門家を選び、相続人と専門家の間を調整し、仕事が円滑に進むよう最後までサポートしていくのが相続コーディネートです。
人脈(ネットワーク)はコーディネーターの命です。資格だけでは良い仕事はできません。資格に人格を備えた、質の高いネットワークをいかに持つことができるかです。
ネットワークには階層があります。2階のフロアにいる者はその階層に人脈をもっています。5階のフロアにいる者はその階層に人脈を持っています。人脈は2階から5階へ、5階から2階へとつながることはありません。
昨今の相続は様変わりしており、縦割りで仕事ができる時代ではありません。各分野の連携が必要です。
質の高い人脈を得るためには自分を磨くことです。それは、コンサルタントとしてのエチケットです。相続は、何を知っているかではなく、誰を知っているかで決まります。

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