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■野口レポート

No.143 足りぬ幸せ 足りる不幸せ (平成20年8月)

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昭和39年は、夢の超特急東海道新幹線開通、東京オリンピックの開催、ビルの谷間を高速道路が駆けめぐり、本格的なモータリゼーションの幕開けとなった時代です。GS(ガソリンスタンド)は当時の花形産業でした。
田んぼのなかを横切った1本の道路が自分の人生を変えました。何を思ったか役所勤めの父が、退職しGSを開業すると言い出しました。跡取り息子は家業を継がなければなりません。
正直で真面目さだけが取り柄の自分には、商売人としての才覚がないことが分かっていたので大反対をしました。
しかし、父は開業に踏み切り新たな世界に突入です。ところが慣れぬ仕事のストレスで体調を崩し入院、家族会議でGSを賃貸にするか売却するかの話になりました。華々しく開業し、わずか半年でやめてしまったら世間の笑い者です。ここで2度目の大反対です。大学を中途退学し家業の立て直しを決意しました。
遊び回っている同年代を横目に、早朝から夜遅くまで身を粉にして働きました。休めるのは1か月に2日だけです。普通なら遊び盛りの若者、もう少し休みがほしいと思いました。だが、少ない休みだからこそ時間を大切に過ごすことができました。この時の苦労が現在の仕事の糧ともなっています。今思えば足りぬ幸せです。


昭和20年代は食糧も豊富ではなく、食べたいものも食べられぬ時代でした。遠足の朝、母がそっとリュックに入れてくれたバナナの味は今でも忘れません。メタボや成人病など誰もいませんでした。足りぬから幸せだったのです。
腕にチクリと違和感をおぼえました。見ると一匹の蚊がとまっています。腹いっぱい血を吸ったと見え、まるまると膨らんでいます。重くて飛ぶことができません。下にポトリと落ちつぶされてしまいした。腹8分目で満足しておけば助かったものを……。足りたがための不幸せです。
美しくなりたい、女性なら誰もが思う願望です。しかし、美人に生まれ不幸せになってしまう人もいます。美しさは足りぬほうが女性は幸せになるような気がします。
親に感謝など皆無、足るを知らず双方一歩も譲らない。相続争いは勝っても負けても不幸になります。旅行にも行かず、贅沢もせず一生懸命働き残してくれた親の尊い財産を、分捕り合うわけですから天罰こそあたれ、幸せになれるはずがありません。
「幸せ」のなかに住む人は「幸せ」が分らない、「幸せ」は手に入れるものでなく「感じるもの」「気付くもの」。<小林正観> 
足るを知る人は、足りぬ幸せに気付きます。感謝があるから譲れます。相続争いなど起こしません。譲り合う相続は感動し、こちらまでが幸せな気持ちになります。
少し足らない腹8分目が、一番幸せなのかも知れません。

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