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■野口レポート

No.148 1勝1敗で迎えたお正月 (平成21年1月)

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相続の仕事を受託し最初にすることは、その案件に最も適した専門家を選び、全員が情報を共有し、目的に向け心をひとつにすることです。これは相続コーディネーターとして重要な作業です。相続はこれで決まると言っても過言ではありません。
法律家と実務家は違います。相続で兄弟姉妹の縁を切らしてしまったら実務家としては負けです。地主さんに相続税の一括納付をさせることができなければ、これもプロとしては負けです。
昨年末、2人の地主さんの相続案件が終了しようとしていました。
ひとつは地元川崎の案件です。税理士、土地家屋調査士、司法書士等でチームを作り、相続をコーディネートしました。依頼者様とは初対面でしたがすぐに信頼関係が生まれ、スムーズな処理ができました。2次相続での相続税納税や、ファミリーの相続後の生活設計を見据えながら、遺産分割もサポートしていきました。相続税納税資金も土地の買い手が決まり、売買契約を締結できました。
残金決済で買主から売主の地主さんへ億単位の小切手が渡ります。私はこの場面をいつも厳粛に受け止めています。相続人が相続税の呪縛から解き放される瞬間だからです。
相続税で夜も眠れず睡眠薬のお世話になる人もいます。地主さんはこの日を境にグッスリ眠ることができるのです。


後日、税理士が申告書の控えを渡し、相続登記の終了した登記識別情報(権利書)を渡し仕事は終わります。相続人全員から「ありがとうございます」と心からお礼を言われ、報酬を頂戴します。仕事の喜び、生きている喜びを感じる瞬間です。
もうひとつは小田原の案件です。遺産分割も円満に終わり、相続税納税用の土地も買主さんがつきました。売買契約を締結し安心したのも束の間、一本の杭が確定せず境界が決まりません。隣接地主のH氏が半世紀も前の遺恨を持ち出し立ち会ってくれません。
何とか立ち会いをしてくれたのですが、ハンコは押してくれません。一歩二歩と譲ったのですが、数回延ばされました。相続税申告期限まであと1か月、土地売買決済を2日後に控えた最後の土壇場で、H氏はハンコと引き換えに理不尽な要求をしてきました。
さすがにこれは受け入れることはできません。断腸の思いで売買契約を解約せざるを得ませんでした。土壇場で足元をすくわれてしまいました。
ありがたいことに買主さんが諸事情を理解し、白紙解約をしてくれました。これで相続税一括納付は吹っ飛びました。
相続税の延納は1年間あと払いです。気持ちを切り替え、取りあえず延納申請し、時間を稼ぎ他の方法での一括納付に全力を尽くします。お客様も一生懸命対応している私の姿を見てくださり、お叱りは受けませんでした。逆に労をねぎらってくれました。
ぜったい相続税は払わせると、心のなかで誓うと、エネルギーが湧いてきます。1勝1敗で迎えた今年のお正月でした。

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