■野口レポート
No.219 ニューヨーク研修の思い出(1) (平成26年12月)
今から16年前になるでしょうか、ニューヨーク(NY)に不動産と相続の研修に行きました。当時のNYを見たまま感じたまま自分なりに綴った16年前のレポートです。数回にわたり再度お届けします。今の米国と比べながら気楽にお読みください。
昼なお暗いビルの谷、高層ビルに囲まれたNYの夜明けは遅い。早朝セントラルパークに散歩にいってみました。街中や公園にホームレスの姿はほとんど見かけません。
碁盤の上に鉛筆を立ち並べたような街並みに歴史を感じる建物が違和感なくとけこんでおり、旧き時代からそれなりに都市計画が行われてきたことが推測されます。
隣接した低層建物の余剰容積率を買い取り、空中権移転で建築されている高層ビルも多くあります。マンハッタンは、島自体が岩盤なので地震の心配がありません。NYに超高層ビルが多いのは巨大な天然土台と耐震に気をつかわぬ低い建築コストが要因にあることも見逃せません。
マンハッタンに向かう幹線道路は通勤車や数珠つなぎのバスの群れで大渋滞です。街ではリムジンが目につき、黄色のタクシーが走りまわり、夜は子守歌のごとくパトカーのサイレンの音です。
世界経済最後の安全弁であるウォール街の証券取引所は大穴が出た競馬場のごとくメモ用紙が散乱し、時折ブースで上がる歓声と熱気がガラスを通し伝わってきます。
夜の一人歩きも街中では不安なく治安の良さを感じます。好景気は文化を楽しむ余裕も生みだし、ブロードウェイの劇場も超満員でチケットも簡単には手に入りません。
米国経済は順調です。経済の余裕は心の余裕につながります。失業率の低下や文化の高揚、以前とは比べものにならない治安の良さなど、好景気がなせる業であり、経済の良し悪しが人の心に及ぼす影響力の大きさを改めて感じました。
米国は、契約大原則・訴訟・損害賠償・自己責任・合理主義の社会です。白か黒か(YES・NO)の社会です。日本人の「どうも・どうも」はいくら説明しても理解してくれません。
日本から持ち込んだカップラーメンにお湯を入れたらポットが沸騰しない、故障かな? と思ったら……、訴訟は「日常茶飯」米国は損害賠償の社会です。必要以上の温度でお客様がヤケドでもしたら即訴訟、ホテルは高額な賠償金をとられます。
賃貸契約も10年20年の長期契約(特約で転貸や譲渡もできる)は普通であり、定期借家契約があたりまえです。中途解約するにはテナント等は残存期間の賃料は勿論、場合によっては違約金をとられます。そんな馬鹿な? と思ったら「契約大原則」の社会です。
契約内容によっては条項が無効となる日本の借地借家法など米国ではとても考えられず理解されていません。 次号につづく
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