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■野口レポート

No.250 相続の開始と銀行手続き (平成29年7月)

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動物は死んだらそれで終わりです。植物も枯れたらそれで終わりです。人間は亡くなると相続が開始します。やらねばならぬことが山積します。そのなかのひとつに銀行手続きがあります。
預貯金の取り崩しには「代償分割」の方法を使います。取りあえず代表相続人(長男)が全ての預貯金を一人で相続し、預貯金の解約など銀行手続きをします。次は遺産分割で「代償金」として合意している金額を各相続人へ振り込みます。
各相続人が銀行窓口に行って個々に手続きを取るより、合理的でスムーズに事が運びます。
遺産分割協議書は、全ての財産が記載されている原本、不動産登記用、銀行用(各銀行)の3通りを作成します。
原本は、その家のトップシークレットです。不動産や銀行の手続きに全財産をさらけ出す必要はありません。
相続人に高齢のおばあちゃんがいます。分割協議書に全部自書を求めるのは無理です。自書は原本のみにいただき、不動産登記用や銀行用の分割協議書は印字の記名にし、相続人様と一緒に銀行手続きに行きました。都市銀行や地方銀行はOKです。ゆうちょ銀行もすんなり通りました。最後に某○○金庫へ行きました。


窓口や担当者に相続の知識が乏しく、いつも手続きが円滑に進まないところです。やはり、クレームをつけられました。
行員「記名の遺産分割協議書では手続きができません。」 私「実印が押してあり、印鑑証明も添付してある、他は全てこれで通っている、自書してあるのは原本しかありません。」 行員「それでは原本を持ってきてください。」 私「原本は〇〇家のトップシークレットなので出せません。本部の担当者に確かめてください。」 行員「他行は知りませんが、うちはそういう決まりになっています。」
サービスより保身を優先するか……。敏速な相続手続も大事なお客様サービスではないでしょうか。相続税の納付期限も迫っており時間がありません。結局は要求をのみました。
相続の銀行手続きは書類や方法など各銀行まちまちです。手続きの簡素化、書式や方法も統一願いたいものです。
借金などの債務も銀行手続きが必要です。被相続人に3,000万円の借金(アパート建築資金)があります。アパートは長男が相続しました。この借金は相続人全員が法定相続分で相続します。ただし、長男が借金を相続することを銀行が承諾(免責的債務引受契約)してくれたなら、他の相続人はこの借金から離脱できます。
借金の銀行手続きは専門家の支援がほとんどありません。相続人(素人)対 銀行(プロ)で行われます。言われるがまま判子を押してしまう人もいます。借金の相続手続きの怖いところです。

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