■野口レポート
No.127 胴体着陸 (平成19年4月)
乗客・乗員60名を乗せた全日空の“ボンバルディアDHC8-Q400型機”が高知空港に胴体着陸をしました。この様子はテレビで生中継され全国中が固唾を呑んで見守りました。
原因はたった一本のボルトの脱落でした。機長の技量と沈着冷静な判断に加え、天候も幸いし惨事をまぬがれました。
機内の不安はいかほどか察するに余り有ります。ここで注目したいのは、機長が乗客に行なったアナウスです。「何度も訓練をしているので安心してください」この一言で乗客の気持ちはどのくらい救われたことでしょうか。
「製造元のカナダ・ボンバルディア社は、英国の老舗航空機メーカーが母体で、運行コストの安さが売りだった。近年、ライバル社との競争激化で、製造段階の品質管理や無理なコスト削減が部品の不良につながった可能性がある。」3/16東京新聞◇筆洗◇。
安全面のコスト削減とは如何なものか…。とても考えられません。
旅客輸送業は「命預り業」です。
相続は人生のなかで何回も経験するものではありません。
親が亡くなると相続が開始します。遺族は悲しみに浸る暇もなく、山積する手続きや諸問題に直面します。相続人は不安でいっぱいです。心配で眠れぬ夜もあります。
相続をコーディネートするとき、私は必ず言っている言葉があります。心配しなくても「だいじょうぶ」ですよ。この「笑顔の一言」で相談者の心は安らぎます。
相続はいくら悩んでも、心配しても、しなくても、必ずなんとかなります。なるようにしかならない、だから「大丈夫」なのです。
相続に特化した若手の司法書士田中康雅さんの言葉です。
『「大丈夫です」最近は以前に増して自信を持って言えるようになりました。どうしてかと言うと、「なんとかなる」からです。どうして「なんとかなる」のか、それは「なんとかなる」か「ならないか」を決めるのは本人だからです。だから、あとは相談者に「なんとかなる」と思ってもらえばいいだけです。結果がどうであろうと…。』
数多くの相続実務を手がけ初めて出てくる言葉です。
相続は車輪(譲る心)が出れば軟着陸できます。そして、相続人全員が幸せになります。いかに車輪を引き出すか、機長は全力を尽くします。ところがこれがなかなか出てこない!!
もし出なければ胴体着陸しかありません。失敗すれば大惨事(家族の崩壊)を起し、相続人全員が不幸になります。相続の胴体着陸はパイロットの人間力と操縦技術が求められます。
飛行機はボルト1本の脱落で命取りになります。
相続ビジネスも「整備不良」だとお客様を不幸にしてしまいます。安全面のコストを削減することなく、常に整備と品質管理(勉強と精進)を怠らず飛行(実務)に臨みたいと思います。
驕りは蟻の一穴 (平成19年3月) ≪前へ次へ≫ 尊厳死宣言公正証書 (平成19年5月)
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