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■野口レポート

No.297 二兎を追う者は一兎をも得ず (令和3年6月)

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相続対策には大きくわけて次の三つの対策があります。
(1)遺産分割対策
 親の財産を円満かつ円滑に分ける対策です。生前に不良資産などを整理し分けやすい財産にしておく、不公平感のないバランスの取れた遺言公正証書を作成し、親の気持ちを付言に託しておく、盆や正月など集まる機会あるごとに、子供達に遺言の内容を言い含め相続争いや兄弟姉妹に絶縁が生じないようにしておく。
(2)相続税納税対策
 相続開始10ケ月以内に相続税を現金一括納付できるようにしておく対策です。財産構成は主に土地で預貯金が少ない、億単位の納税をする地主にとって、何より優先しなければならない対策です。
(3)相続税節税対策
相続税をいかに減らすかの対策です。対策のなかでは一番報酬を取りやすい分野です。相続の専門家と言われている人達には、節税対策を優先する人が多いのも事実です。
が、これらの対策が同じ方向を向くとは限りません。真逆の方向を向いてしまうこともあります。このお客様にはどの対策を優先すべきか、三つの対策のうち優先する一つの対策が決まったら、その対策を確実に実行することです。


新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。政府は感染対策と経済対策を両立させるとの方針を続けてきました。
極めつけは「GoToトラベル」「GoToイート」のキャンペーンです。これで感染が一気に広がりました。感染対策と経済対策の2兎を追ってしまった結果です。
自粛生活の長期化やコロナ慣れにより、当初に比べ国民の意識も低く、「緊急事態宣言」も以前のような効果があるかは疑問です。
最近は会合もありません。講演もオンラインで臨場感がありません。友人との会食や飲み会も一切ありません。
相続は心と神経を使うストレスのたまる仕事です。週末には近くのソバ屋のカウンターで一人お酒を飲みながら、疲れた神経を癒しリフレッシュするのが、コロナ禍のなかで唯一の楽しみです。が、酒を出してはならぬ、とのお達しでこれもできなくなりました。
「おもてなし」の言葉のもと、カードを返したら「TOKYO」です。オリンピック招致に成功し、関係者は涙しよろこびました。まさか貧乏クジを引いたなど誰が思ったでしょうか。
政府は二兎でなく三兎を追うつもりです。このような感染状況のなかでオリンピックを開催できるのでしょうか、IOCや政府は国民の健康を最優先し、判断してほしいものです。
「二兎追う者は一兎をも得ず」今はこの言葉をかみしめ、円滑なワクチン接種や感染拡大を抑えることに、エネルギーを集中すべきだと思います。

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