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■野口レポート

No.327 第3相続順位とその対応 (令和5年12月)

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☆被相続人に子がいる。子が相続人となる第1順位の相続です。父母や祖父母の直系尊属や兄弟姉妹は相続人にはなりません。養子は実子と同じ権利義務を有します。
認知した非嫡出子も先般の民法改正で、実子と同じ相続分を有するようになりました。
☆被相続人に子がいない。が、父母がいる。父母がいなくても祖父母がいる。これは父母等が相続人となる第2順位の相続です。
☆被相続人に子も父母や祖父母もいない。これは兄弟姉妹が相続人となる第3順位の相続です。兄弟姉妹が亡くなっていてもオイメイまでは1代限りで代襲相続人となります。
☆配偶者は、第1順位、第2順位、第3順位であれ、順位により相続分は違っても、常に相続人となります。
◎Aさんの伯母さんが亡くなりました。ご主人はすでに他界しており、子どもがいないので相続人は伯母さんの兄弟姉妹です。
5人のうち2人はすでに他界しオイメイに枝分かれしています。相続人はオイのAさんを含め全部で10人になります。
近くに住んでいるAさんが葬儀を仕切り、相続もまかされました。私が載っていたタウン誌を見て相談に見えたそうです。他の相続人からは一任を取り付けているとのことでした。


主な遺産は自宅の土地建物、それに預貯金が少々です。葬儀費用を差し引き、自宅売却の諸費用を見積もり、手取り残額を算出し代償金を決めます。相続人が兄弟姉妹の場合は残額を法定相続分で按分することが多いです。一度全ての財産をAさんが相続し、そのあと自宅を売却し他の相続人に代償金を払います。
Aさんが翌年に払う費用は、①譲渡所得税、②社会保険料等、③確定申告税理士報酬です。直近で払う費用は、④葬儀費用、⑤確定測量費用、⑥建物解体費用、⑦相続登記費用、⑧遺品処理費用、⑨土地売買仲介手数料、⑨相続アドバイザーへの報酬、⑩雑費です。
全ての段取りが整ったら遺産分割協議書に署名押印です。第3相続順位の相続は相続人が多く、しかも北海道から沖縄まで全国に散らばっていることがよくあります。
相続人全員が一堂に集まるのは不可能です。遺産分割協議書を人数分(10枚)つくり全員に送ります。署名押印し返送されてきた遺産分割協議書を10枚束ねて初めて効力が生じます。
遺産分割は多数決では成立しません。例え1枚でも署名押印がもらえなければ、受け取った他の9枚の遺産分割協議書は無駄になってしまいます。これがリスクです。
このリスクを避けるため、相続分譲渡証明書(有償でも無償でも可)をもらう方法もあります。返送されてきた8人の相続分は取りあえず自分の相続分として確保しておき、あとは相続分10分の9と10分の1での遺産分割協議になります。

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