■野口レポート
No.167 相続アドバイザー協議会10周年 (平成22年8月)
NPO法人相続アドバイザー協議会が設立10周年を迎えました。先般ANAインターコンチネンタルホテル東京に於いて、10周年記念全国大会が多数の参加を得て盛会に行われました。
平成11年頃でしょうか、現理事長の芳賀則人氏から、相続の全体像を知っていただくために、「相続をトータルに学べる講座を作りたい」との熱い想いを聞かされました。
相続の現状を目のあたりにして肌寒さを感じていた頃でした。
◎借金することが相続税を減らす相続対策になると錯覚を起こし、安易な借金で、賃貸マンションを建てさせられてしまう人。
◎半歩譲れば解決できるものを、弁護士のところへ行けば有利になると思いこみ、相続問題を一層複雑にしてしまう人。
◎親の財産をもらうのは当たり前、感謝の気持ちと譲る心を忘れ、相続を争いにしてしまい家族を崩壊させてしまう人。
◎不動産を兄弟の共有にしてしまい、将来の共憂にしてしまう人。
幸せになるべき相続で不幸になってしまう人達の何と多いことか…。
単に法律や税金(節税)だけでなく、相続の全体像をつかみ、心のアドバイスを含め、相続人の幸せを守ることのできる実務家の必要性を強く感じていた時でもありました。
同じ価値観を持つ芳賀氏に賛同し、誘いを二つ返事で受けました。芳賀氏の「徳」に「得」を求めない仲間が集まりました。
当初は5人ほどの組織で、会の名も決まっていませんでした。
多くの名が候補に出ましたが、私の提案した「相続アドバイザー」が投票によって選ばれました。
闇夜のなかで、象の鼻をつかんでも分かりせん。脚にさわっても分かりせん。尾や耳も同じです。背中をさわれば、もう何がなんだか分かりません。象の全体像が分からないのです。
相続も「闇夜の象」です。知っているつもりで実は全体像が分からないのです。養成講座20講座の目的は、相続の全体像を知っていただくことにあります。関連業種や、弁護士・税理士など士業の先生も受講され、全体像を知っていただければと思います。
法律と常識、節税と人の幸せ、これらは一致するとは限りません。全体像を知らずして相続人を幸せに導くことはできません。
死は避けることも譲ることもできません。これから相続は増え続けます。単に法律や財産だけでなく、人の心を含め相続を総合的にアドバイスできる実務家を社会が求めています。
平成12年に始まった相続アドバイザー養成講座も、この7月で第18期を終了し、会員様も全国で500名を超えました。
一人でも多くの人材を養成し、相続で「一人でも多くの人が幸せになってほしい。」これが協議会の願いであり使命です。熱き想いを忘れることなく、一歩一歩を積み重ねてまいりたいと思います。
相続実務は鴨の水掻き (平成22年7月) ≪前へ次へ≫ 現代社会と遺言の新たな役割 (平成22年9月)
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