■野口レポート
No.181 資格と人格は車の両輪 (平成23年10月)
日本人は資格や肩書きが好きな民族です。資格(職業)や肩書きだけで、人間の価値を判断してしまう人もいます。
資格には大きく分けると次の3つがあります。
《国家資格》
法律に基づき、技能、能力、知識などを国や地方公共団体、国から委任された機関等が試験を行い判定します。弁護士・税理士・調理師・美容師など、その数は数百種類に及びます。
《公的資格》
国の各省庁などの公的機関から認定された法人や、民間団体によって運営される社会的信用度の高い資格です。徐々に廃止され民間資格に移行しています。
《民間資格》
民間の団体や会社が任意の基準で与えている資格です。なかには国家試験にも勝る難度の高いものもあります。
34年前に取得したタイヤアドバイザーがありました。これもブリジストンタイヤが認定するタイヤに関するプロの民間資格です。
ちなみに、民間資格を除き私の取得している国家資格は4つあります。自動車運転免許・2級自動車整備士・危険物取扱者・宅地建物取引主任者です。
また、弁護士・公認会計士・不動産鑑定士などが3大国家資格と言われた時代もありました。そして、国家資格のなかには業務独占資格があり、国が法律で業務を保護してくれます。
近年、時代の変化はすさまじく、手垢のついた資格や経験の上に「あぐら」をかいていたり、傲慢や我がままをプライドと勘違いしていたら取り残されてしまいます。
司法試験のシステムも緩和され、若い弁護士資格者が急増しています。だが、資格で飯の食える時代は終わりました。
弁護士事務所1名の募集に対し、30名近くの新人が殺到してくるとの話も聞きました。弁護士ですら就職難の時代です。
また、資格と人格は一致するとは限りません。人格のともなわない資格は人を不幸にしてしまいます。
記憶に新しいところでは、耐震偽装の某一級建築士です。一級建築士も、難度の高い試験に合格して得られる国家資格です。彼が資格を持ったことで、どれだけ多くの市民が不幸になってしまったことか周知のとおりです。
どんな立派な資格や肩書きを持っていても、それに見合った人格が備わっていなければ一流とはいえません。
資格は、技能や知識です。人格は、謙虚さ、優しさ、強さ、感謝、人間力、最後は「徳」に行きつきます。前者は学ぶことで得られます。そして、後者は気付くことで初めて得ることができます。
社長や営業マンが、いくら経営コンサルを受けても業績が上がらないのは、人格を上げるコンサルが平行して行われていないからだと思います。資格と人格のバランスは政治家にも必要です。
何ごとも両輪が共に回って初めて前へと進みます。
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