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■野口レポート

No.260 走れメロス (平成30年5月)

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※こちらのレポートは過去のレポート(平成17年発行108号)のリニューアル版です。

「メロスは走った、無二の親友セリヌンティウスとの約束を守るために、死力を尽くして走った。刑場に突入したとき、まさに陽は一片の残光を残し消えようとしている。」多面的な人間の心を描いた「太宰治」の小説“走れメロス”です。
私がこの物語に出合ったのは高校一年生の国語の教科書のなかでした。身はボロボロになりながら最後は約束を守ったメロス、友を信じ待ち続けたセリヌンティウス。約束を守ること、人を信じることの大切さを学びました。
この物語の感想文のコンテストがありました。感動し、「信じることは人間としての愛である」など、生意気なことを書いて最優秀賞に選ばれたことがありました。
高校時代は電車通学でした。友人と約束し駅で待ち合わせをしたものです。あるときいくら待っても友人がきません。約束の時間は過ぎています。電車を数本送ってギリギリまで待ちました。おかげで駅から学校まで駆け足です。
息せき切って教室に入ると、なんと彼がいるではないか、「待っていたのに。」私も少々立腹です。「悪かったな、好きな女の子がいたので前の電車に乗ってしまった。」そんなことで約束を破るとは……。卒業後、彼が活躍しているとの話は聞きません。


家内の実家は信州のお寺です。毎年8月の上旬には最大のイベント、「施餓鬼」の大法要があります。当日はたくさんの檀家さんがみえます。家内は手伝いに行くのが恒例になっていました。ご無沙汰しているので私も一緒に行ってまいりました。
住職の義父は90歳をすぎて現役です。真夏の昼下がり大法要が始まりました。多くの僧侶にかこまれ、途切れながらも読経を続ける老師(義父)の姿はとても尊く、合掌しながら胸に熱いものがこみ上げてきました。
家内を嫁にむかえるとき、義父とひとつの約束をしました。「娘を川崎へ嫁がせてよかったと、必ず思っていただけるようにします。」この約束は一度たりとも忘れたことはありません。
あれから35年(平成17年)、紆余曲折はありましたが天職にめぐり会うことができました。相続の実務家として世間からも認めていただけるようになりました。感動を与えられる講師にもなりました。“感謝の気持ち”と“譲る心の大切さ”一貫しこの理念をつらぬき、相談や依頼を受けた相続案件も、争いをさせることなく解決に導けるようになりました。
義父との約束をようやく果たせた気がします。遅い歩みでしたが、約束を守るべく努力を積み重ね今の自分がいます。それを信じ待っていてくださった義父がいます。1年後に他界しましたが生前に約束を守ることができ、本当によかったと思っています。
約束を守ること、信じることの大切さ、改めて感じました。

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