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■野口レポート

No.113 幸せを守る遺言の使い方 (平成18年2月)

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相続の現場では「遺言さえあったなら」と思うことが少なくありません。遺言ひとつで天国と地獄の差になることもあります。
「俺の目のクロいうちは」生前に相続や遺言の話をすると嫌がる人がいます。しかし、目がシロくなってからでは間に合いません。
長男とお嫁さんが長いあいだ親の面倒をみてきた。親が亡くなると他の兄弟が寄ってきた。遺産は自宅敷地と建物だけ。「自分達にも権利がある」「そんなこと言ったって親父の財産はこの家しかないだろう」「家を売って金を分ければいいじゃないか」 ………。
同じ相続争いでも問題は深刻です。この悲劇を防ぐことができる人が一人だけいます。おじいちゃん!あなたです。遺言が絶対に必要な場面です。法定相続は平等ですが公平ではありません。その隙間を埋めるのは指定相続(遺言)しかありません。
親の建物を2世帯住宅として子が建て替えました。親が亡くなれば土地は相続財産です。兄弟が黙ってハンコを押すとは限りません。ハウスメーカーはそんなこと教えてくれません。相続は2世帯住宅の落とし穴です。遺言があれば少ないお金で話がつくでしょう。
自筆証書遺言は家庭裁判所の検認を受けなければ遺言の執行(登記や預金の名義かえ)ができません。相続の実務ではこの「検認」が大きな意味を持ってきます。検認は家庭裁判所が行なう証拠保全作業です。


相続人を確定し全員が呼ばれ目の前で開封されます。つまり、相続人全員が相続を知ることになります。それに対し公正証書遺言は、相続人が一堂に集まる検認が不要です。検認を受けずして不動産の登記や預金の名義が変えられます。
子どものいない夫婦がいます。自分の財産は妻が全部相続できると思っている人もいます。すでに祖父母も両親も他界していたら、兄弟姉妹に4分1の相続権が出てきます。ご主人側の義兄弟姉妹からハンコをもらうのは辛いものがあります。
公正証書遺言を作っておいてください。検認不要の遺言は亭主の思いやりです。そして長い間お世話になった女房への最後のラブレターです。
遺言の相談を受けました。相談者のAさんは再婚です。先妻との間に子どもBさんがいます。数10年音信はありません。Aさんには検認不要の公正証書遺言(執行者・相続人)のアドバイスをし、遺言のサポートをさせていただきました。
自筆証書遺言ではBさんは家裁からの連絡(検認)で父親の相続を知ることになります。公正証書遺言ならば父親の死など知るよしもありません。10年で遺留分減殺請求も時効となります。Bさんはすでに自分の人生を歩んでいることでしょう。父親の相続を知ったら心がゆれます。余計な波風も立つでしょう。疎遠の相続人はそっとしておくことも思いやりというものです。
遺言の目的は、財産でなく相続人の幸せを守ることにあります。そして、それができる人は一人だけです。

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