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■野口レポート

No.170 増え続ける相続放棄 (平成22年11月)

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バブル期に、「このままでは相続税が大変ですよ。借金して賃貸建物を建てましょう。」借金が相続税を減らす相続対策になると錯覚し、多額の借金で賃貸建物を建てた人。汗することを忘れ、遅れてならぬと株や不動産(泡)を買った人。
そして、バブルは崩壊しました。後に残ったのは、資産価値が激減した不動産、価値が変わらない借金!下り坂を転がるよう下落する地価に対し、借金は一緒に下がってくれません。
借金は遺産分割ができません。相続人全員が法定相続分で相続します。特定の相続人が相続するには銀行の承諾が必要です。
相続放棄の件数は、昭和60年から平成3年までは4万件レベルでした。平成7年から急増し、平成15年には14万件にもなります。バブル期に借金をした親が亡くなり、債務超過(資産より借金が多い)の相続が開始した時期と符合します。
バブル期の借金による相続放棄はこれで一段落したと思われます。
だが、相続放棄は依然と増え続けています。平成21年には15万件を超えました。リーマンショック、円高、株価など、世の経済状況の変化が、相続放棄の新たな要因とも推測されます。これからは相続放棄や連帯保証人などの正しい知識は欠かせません。


Aさんから相談を受けました。債権者の代理人の弁護士さんから次のような通知が届きました。「同封の相続関係説明図の通りあなたは相続人となります。上記の通り明らかに債務超過です。つきましては、家庭裁判所に相続放棄の申述手続きをするか、あるいは事実上の相続放棄をされる方は、同封の証明書に署名押印し返送ください。」封筒には相続分皆無証明書が同封されていました。
素人のAさんに相続放棄と事実上の相続放棄の違いなど分かるはずありません。もし、皆無証明書に署名押印してしまったら相続人としての地位は残ります。債権者から請求されたら法定相続分に応じ債務を返済しなければなりません。
「財産いらないよ」と、遺産分割協議書にハンコを押す。これも事実上の相続放棄です。ゼロの財産を相続したことになり、借金は法定相続分で相続してしまうので注意して下さい。
相続放棄は相続の開始を知ったときから3カ月以内(期間伸長の手続もできる)に家庭裁判所に申述し、受理されると最初から相続人ではなくなり、借金や保証債務も相続しなくて済みます。ただし一度受理されると取り消すことができません。
もし血縁者が疎遠なら亡くなったことなど知るよしもありません。
突然、債権者からこんな通知が送られてきたら、封筒は必ず保管しておいて下さい。封筒の消印が相続の開始を知った起算日の証となります。司法書士・行政書士、相続アドバイザーなど身近な専門家に即相談して下さい。対応が遅れると家族の人生が狂います。

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