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■野口レポート

No.197 “デッドクロス”と“ゆでガエル” (平成25年2月)

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大きな借金をして賃貸マンションやアパートの経営をしている地主さんや大家さんには少し怖い話になります。「デッドクロス」あまり聞きなれない言葉です。
デッドクロスを知る前に次のことを理解してください。
《建物の減価償却》建物の価格は決められた額を年数に応じ、小出しに経費に計上していきます。つまり実際には財布から現金が出ていかないのに、経費とみなし家賃収入から引くことができます。帳簿上は利益が圧縮され、所得税などの税金は少なくて済み、手取りは多くなります。これが物件の実力だと勘違いしがちです。
《元利均等返済》返済完了まで一定の金額で返済する方法です。多くはこの返済方法です。最初はほとんどが金利部分の返済で、大きな金額が経費となり、利益を圧縮するので税金も少なく、初期の手取りは多くなります。返済が進むにつれ経費にできる金利部分は減少し、経費にできない元金部分が増えてきます。帳簿上は利益が増えるので、税金も増え実際の手取りは減ってきます。
それではデッドクロスを説明してみましょう。設備部分の減価償却は15年で終了し、これ以後は経費として計上できる償却額が大きく減少してきます。建物全体の減価償却期間は、鉄筋コンクリート47年、木造アパート22年で終わります。


経費にできる減価償却費は右肩下がりに減少し、経費にできない元金返済額は右肩上がりで増えてしまう。今まで収支のバランスを支えてきた、減価償却費、借入金利、この二つの大きな経費が年を経るごとに崩れてきます。
借金や修繕費は容赦なく現金で出ていきます。家賃収入は変わらず経費はどんどん減少していきます。経費の減少で帳簿上は利益があがります。実際には財布にお金がないのに税金を取られます。持ち出しができない大家さんは黒字倒産の危険さえ生じます。
実際には現金が出ていかないのに経費にできる減価償却の額を、実際には現金が出ていくのに経費にできない借金の元金部分が上回ってしまうタイミングをデッドクロスと言います。
冷水のなかにカエルを入れ、徐々に沸かしていくとカエルは温度の変化に気がつきません。気がついたときは自分から飛び出せず、ゆであがってしまいます。ご存じ「ゆでガエル」の話です。
なぜ地主さんは借金をしてしまうのか、借金が相続税対策になると誤解している。そして、お金(現金)持ちではないからです。
借金での賃貸経営は、手取りを浪費せずこの日に備え蓄えておく必要があります。もし現金が無ければ手持ち資金の範囲で身の丈にあった確実な賃貸経営をすればデッドクロスは生じません。
デッドクロスなど素人には分かりません。また、営業マンや銀行マンもそんなこと説明してくれません。「ゆでガエル」にならないためにも、見栄を取らずに実を取ることが大切です。

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