■野口レポート
No.120 感謝して受け容れる (平成18年9月)
『釈迦は、この世の悩み・苦しみの根元は、「思いどおりにならないこと」と見抜いた。だから、「思いどおりにしようとしないで、受け容れよ」と言った。その最高の形は、「ありがとう」と感謝することだったのです。』
*釈迦の教えは「感謝」だった* 小林正観 著(風雲舎)より
斎藤一人さんが次のような話をしています。
『お釈迦様は悩みをなくそうと思い修行をしました。滝に打たれ 断食もし 極限まで自分を追い詰めました。難行苦行のあとに言った言葉は「無駄である」。』
二つの話は苦悩の根元を見抜いたお釈迦様の話です。
「自分の思いどおりにしたいのに、それが叶わない」、だから人は悩み・苦しみます。「思いどおりにしょうとしないで、受け容れよ」、これができれば、悩み・苦しみは一気に消滅に向かいます。
ある我の強い姑さんがいました。お嫁さんは大変だと思いました。だが、このお嫁さん悩みや苦労を一切顔に出さず、常に明るくふるまっています。ここへ嫁いだから成長できたと感謝さえしています。思いどおりにしようとしないで、受け容れてしまったのです。
家には波風も立たず、姑さんは寿命を全うし旅立っていきました。幸せなおばあさんでした。
相続コーディネートの流れのなかで、遺産分割の話し合いに関わる(弁護士法に注意)ことが、どうしても出てきます。
遺産が全部現金なら、多い少ないだけの話しです。だが、土地が多くを占める財産構成のなかで、不動産の実質の価値を、どう遺産分割協議に反映させていくかが難しいところです。
知人の紹介で、ある相続のコーディネートを引き受けました。
問題点をまとめ、案件に見合った、税理士、土地家屋調査士、司法書士をセッティングし、コーディネートしていきます。
不動産の価値を公平にアドバイス、難航した遺産分割もようやくまとまり、いよいよ明日は遺産分割協議書の調印です。
夕方、相続人の一人から突然電話が入りました。取引先の銀行員から、「それでいいのですか」と言われたそうです。この行員さんに不動産の価値や、これまでの経緯など分かるはずがありません。
ここで話が壊れたら今までの苦労が水の泡、久々に寝つきの悪い夜を過ごしました。想定外の出来事でした。だが、もう少し苦労をしろとの「天の声」と言い聞かせ、この事実を受け容れました。
本人を説得するには時間がありません。翌朝一番で他の相続人に連絡し、事情を説明し半歩譲っていただき、代償金の調整で何とか収まり、無事調印することができました。
なぜ余計なことを言ったんだ、どうしてくれるんだ、そんな気持ちになっていたらハンコは揃わなかったでしよう。
いい経験をさせてくれた銀行員さんに感謝です。
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