■野口レポート
No.256 相続の胴体着陸 (平成30年1月)
※こちらのレポートは過去のレポートのリニューアル版です。
乗客・乗員60名を乗せた全日空の“ボンバルディアDHC8-Q400型機”の前輪が出ず高知空港に胴体着陸をしました。この時の様子は当時(2007年)テレビで生中継され、日本中が固唾をのんで見守りました。
原因はたった一本のボルトの脱落でした。機長は急旋回やタッチアンドゴーなどあらゆる手段を試み、何とか車輪を出そうと努力しましたが車輪は出ません。やむなく胴体着陸の決断をしました。
機長の沈着冷静な判断と技量、パニックを防いだ客室乗務員の対応、乗客の協力、天候も幸いし大惨事をまぬがれました。
機内の不安はいかほどか察するに余り有ります。ここで注目したいのは、機長が乗客に行なったアナウンスです。「何度も訓練をしているので安心してください」この一言で乗客の気持ちはどのくらい安らぎ救われたことでしょうか。
「製造元のカナダ・ボンバルディア社は、英国の老舗航空機メーカーが母体で、運行コストの安さが売りだった。近年、ライバル社との競争激化で、製造段階の品質管理や無理なコスト削減が部品の不良につながった可能性がある。」◇某新聞コラム◇
安全面のコスト削減とはいかがなものか…。常識ではとても考えられません。旅客輸送業は「命預り業」と心すべきです。
親が亡くなると相続が開始します。相続は人生のなかで何度も経験するもではありません。遺族は悲しみに浸る暇もなく、山積する手続きや諸問題に直面します。初めての経験で相続人は不安でいっぱいです。心配で眠れぬ夜もあります。
仕事の依頼を受けたとき、私は必ず相続人様へ言っている言葉があります。「心配しなくても大丈夫ですよ。安心してください。」この笑顔の一言で相続人の心は安らぎます。
相続はいくら悩んでも、心配しても、なるようにしかなりません。だから心配する必要はないのです。最後はなるようになるのです。つまり「大丈夫」なのです。
遺産分割も「感謝の気持ち」と「譲る心」この心の両輪が出れば軟着陸でき、相続人全員が幸せになります。「感謝と譲る心」は縄文の大昔から日本人が持っている独自の遺伝子です。
いかにこのDNAを引き出すか、機長(相続アドバイザー)は全力を尽くします。ところがこれがなかなか出てこない!
もし出なければ胴体着陸しかありません。失敗すれば家族崩壊の大惨事を起し、相続人全員が不幸になります。相続の胴体着陸はパイロットの人間力と高い操縦技術が求められます。
飛行機はボルト1本の脱落で命取りになります。相続ビジネスも整備不良だとお客様を不幸にしてしまいます。安全面のコストを削減することなく、常に研修や勉強(整備)に励み、人間力(品質管理)の向上を怠らず、相続実務(飛行)に臨みたいと思います。
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