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■野口レポート

No.179 天職に出会えた幸せ 《パート3》 (平成23年8月)

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東海道新幹線の開通、東京オリンピックの開催、ビルの谷間を高速道路が駆けめぐり、本格的モータリゼーションの幕開けとなった昭和39年、ガソリンスタンド(GS)は花形産業でした。
昭和44年、待ちわびた東名高速道路の全線開通など、GSは全盛期を迎え良き時代でした。だが、石油元売会社の増販計画に巻き込まれ、販売店の乱売合戦が始まりました。 
「価格競争による値下げ」→ 「利益の減少による質の低下」→ 「固定客の減少と流動客ねらい」→「価格競争による値下げ」→繰り返し、GSはこの悪循環にはまってしまいました。そして半世紀近くも、このデフレスパイラルから抜け出せません。
家業のGSを引き継ぎ数10年、地下タンクや設備は老朽化、再投資しても回収の見込みなし、転業するには年齢的にもラストチャンス(当時48歳)。平成5年、家業の廃業を決断しました。
この時点では新たな仕事のあてもなく、もし家族から反対されたらこの決断はできなかったし、今の自分もありませんでした。
GSを廃業し、借金をして跡地に賃貸マンションを建てると相続(節税)対策になるからと、以前から建設会社の営業マンに提案を受けていました。建設会社お抱えの税理士先生が、シミュレーションをつくり説明してくれました。


税理士先生や営業マンから相続コンサルを受けているなかで、天からイナズマのような「ひらめき」がありました。
相続や対策は素人には全く分かりません。素人側に寄り添い公平な立場で、専門家との間をコーディネートしてくれる仕事があってもよいのでは……。このような仕事が社会から求められる時代が必ずやってくる。これが自分の仕事だ! 直感的に感じました。
そして壁にぶつかりました。税理士でもない、弁護士でもない、そんな自分がどこで報酬を頂くことがきるのか……。
相続で土地が動くことに気付きました。そうだ! 不動産屋になればいい。不動産をベースに相続に特化すれば飯が食える。
次の日から人生をかけた宅建試験の受験勉強が始まりました。宅建試験も無事合格、平成7年宅地建物取引業を開業(50歳)、平行し相続を徹底的に勉強しました。そして不動産業のなかに相続特化型の新分野を立ち上げることができました。
現在の法律では弁護士法72条の壁があり、弁護士以外の相続アドバイザーや相続FPは、それ自体を職業とし、報酬を頂くことができません。だが、将来に向け相続は増え続けます。
法律だけで処理するのではなく、相続問題を本当の意味で解決できる相続の実務家を社会が求めています。いつの日か、これらの仕事が職業として国に認めてもらえる時代がくるでしょう。
天が与えてくれた仕事です。その日がくることを願いながら、精進を怠ることなく、先駆者の道を歩み続けてまいります。

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