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■野口レポート

No.178 原発事故と株価を考える (平成23年7月)

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競馬や競輪などの賭事は、外れたら元手は戻りませんが、的中すれば大きな見返りが期待できます。お酒は適量なら良薬にもなり、人間関係を作る潤滑油の役目もしてくれます。
だが二つとも、ほどを忘れ度が過ぎれば、身代や身体をつぶしてしまう怖いところもあります。
株式投資にもリスクとリターンがあります。上場株式は買い注文が多ければ株価は上がり、売り注文が多ければ株価は下がります。株価は買いと売りのバランスで上下に動いています。
投資家は、なかなかの勉強家です。金融・経済・政治の状況を見据え、会社の業績、将来性、成長度など、あらゆる視点から会社を分析し投資してきます。欲もあるから真剣です。
上場企業は、これら不特定多数の投資家から厳しい目で会社を評価されることになります。ゆえに株価は会社の実力や業績を一番よく表すと言われています。
東日本大震災で福島第一原子力発電所が、地震と津波により複数の原子炉が同時に破損し、制御の命ともいえる冷却機能が失われ、炉心がメルトダウンする大事故を起こしました。
リスクを背負い冷却放水にかかわった、自衛隊や消防などの尊い姿、不眠不休の作業員の皆様には頭が下がるばかりです。


当然のことながら、原発事故を起こした東京電力の株価は大暴落しました。震災直前に終値2,153円をつけていた株価は、原発事故のあと、一時は200円を割ってしまいました。
多くの人が所有している東京電力の株と相続を考えてみました。

《運の良い人》
◎昨年相続が発生し、相続税納税のため東京電力の株を全部売ってしまった人。
◎相続で取得した株を大震災前に換金した人。

《運が悪いなかの幸い》
◎株価が大暴落してから相続が発生した人。

《運の悪い人》
◎大震災が起きる3月前に相続が発生した人。→ 1月2月の株価は2,000円台でした。この株価で相続税が課税される。→ 現在の株価は300円台です。万株単位で持っていたら……。
◎大震災前に相続時精算課税制度を使い、東京電力の株を子に贈与した人。→ 贈与者の将来の相続で、贈与した時点(大震災前)の評価で、相続財産のなかに戻され相続税が課税される。
◎東京電力の株を遺言で取得する人。→ 遺言を作った時点では株価も高く、他の兄弟とのバランスがとれていた。→ 大暴落でバランスが崩れ争いの原因となる。→ 遺言内容の再検討が必要。

福島第一原発の事故は、直接的、間接的、多岐にわたり多くの災いをまき散らします。原発事故の収束と被災地の復興、株価の復活と電力の安定供給を願わずにはいられません。

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