■野口レポート
No.183 振り子が止まった (平成23年12月)
昭和天皇が発せられた終戦の詔勅(玉音放送)があります。
「堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍び、もって万世の為に太平を開かんと欲す」この言葉は多くの人が知っています。だが、詔勅の全文を理解している人はほとんどいません。
口語訳の全文を読んでみると、いかに昭和天皇が、心の底から国のこと、国民のこと、平和を願い求めていたか。また、今後の日本が背負うであろう尋常でない苦難のなか、日本の不滅を信じ、国の復興を願っておられたかが分かります。
そして、生涯において一切の言い訳をすることなく、「あっそぅ」と全てを受け入れられてしまいました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災で、天皇陛下が国民に向け異例のビデオメッセージを発せられました。二つの「玉音放送」は、時代こそ違え重なるものがあります。
戦前・戦後を通じて、日本の教育界最大の人物である森信三氏(1896~1992)は、日本について次のように予言をしています。「我が国は西暦2000年から下降線をたどり、2010年にはどん底に至る。しかし2015年から上昇を始め、2025年には再び立ち上がる。」森信三氏の予言通り、2010年は、政治・経済・人心、どこをとってもどん底でした。
氏に師事した寺田一清氏は、ある月刊詩で「この予言からすると、この混迷はあと5年は続く、日本が再び立ち上がるためにも、この5年間の我々の生き方が問われている。」と語っています。
千葉の松戸で相続に特化した仕事をしている、司法書士の中島誠さん「相続の誠」が発信している「中島のつぶやき」の一節です。
「私たちの前に、日本のかかえる大きなゆがみが現れています。利便性の追求、利益追求、競争社会、格差社会、利己、官体質・・・。
この度の震災は、日本のゆがみをあぶりだす大きな契機となったことは確かです。もとのよい状態に戻そうとする原動力の中心となる人は、ゆがみを感じている10歳前後の子供たちでしょう。
さらにその中心となる人は、身をもってゆがみを体験し、これからも体験するであろう10歳前後の東北の子供たちです。
私たち大人にできることは、自らのゆがみに気づき、自らを見直し、自らを整え、次世代の子供たちと共に歩むことです。
今は、大きく振られた振り子が中心に向け、戻ろうとして止まっている時です。これから加速度を増して中心に向います。わくわくする事がたくさん出てくるでしょう。」 以上抜粋
森信三氏の「予言」と、中島さんの「つぶやき」は符合します。
今回の大震災で日本人は大事なことに気付くでしょう。止まった振り子が中心に戻るためにも、まさにこの5年間の生き方が大切です。
右に大きく振られた錘は必ず左に振り返します。国民1人1人のこれからの生き方が、そのまま未来の日本に還ってきます。
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