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■野口レポート

No.192 相続の大いなる誤解 (平成24年9月)

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◎ 相続の誤解 その1
《借金すれば相続税が減る》
借金そのものに相続税を減らす節税効果は生じません。借金が相続対策にならないことは野口レポートで何度も書きました。
バブル期には、借金して賃貸物件を建てる節税対策が盛んに行われました。そして、バブル崩壊。デフレする(価値が下がる)不動産、デフレしない(価値が下がらない)借金、資産家が債務超過(財産より借金が多い)の悲惨家となり相続放棄せざるを得ない人。
「自分は何も悪いことしていない。ただ銀行の言うことを聞いただけだ」銀行に貸し込まれ破綻した人の声なき声です。
◎ 相続の誤解 その2
《全財産は妻にいく》
子どもがいないので夫の財産は全部妻にいくと思っている人がいます。自分の兄弟姉妹も相続人になるなんて夢にも思っていません。検認不要(義兄弟と顔を合わせない)の公正証書遺言が必要です。
◎ 相続の誤解 その3
《税理士は相続の専門家》
税理士にも内科と外科があり、素人に区別はつきません。相続は難度の高い外科手術、確かな技術と多くの経験が必要です。


◎ 相続の誤解 その4
《相続問題は弁護士へ》
弁護士へ行かない(法律問題にしない)ことが円満相続の最大のポイントです。一にも二にも自助努力、当事者同士が最大限の努力をし、解決を目指しましょう。弁護士は最後の最後です。
◎ 相続の誤解 その5
《何もしなくても法律通りに相続できる》
法律通りに分けるにも相続人全員の合意が必要です。合意が得られなければ家庭裁判所の調停そして審判となり、判決は法定相続分が原則です。ただし、兄弟姉妹の縁は切れ二度とつながりません。
◎ 相続の誤解 その6
《遺産分割協議で相続放棄した》
遺産分割協議書にハンコを押し、相続放棄したと言っている人がいます。これは相続分の放棄です。相続分の放棄は0の財産を相続したことになり、相続人の地位は残ります。借金や保証債務など、負の財産があれば法定相続分で相続してしまいます。
◎ 相続の誤解 その7
《財産がないから関係ない》
家庭裁判所に持ち込まれた最近の遺産分割事件の財産額です。
1000万円以下30.9%、5000万円以下43.3%、合わせて74.2%です。相続争いは財産の少ない人が圧倒的です。
これら相続の誤解が不幸を引き起こす誘因となります。

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