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■野口レポート

No.122 打ち出の小槌(こづち) (平成18年11月)

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“両雄一歩も譲らず”栃錦・若乃花、大鵬・柏戸、多くの名勝負は相撲ファンを楽しませてくれました。
夏の甲子園を沸かせた「 早稲田実業 」対「 駒大苫小牧 」斎藤・田中両投手の決勝戦での投げあいは記憶に新しいとことです。
スポーツでのフェアな戦いは多くの人に感動を与えます。
“相続人一歩も譲らず”同じ戦いでもこちらは誰も感動してくれません。親の残した財産を兄弟姉妹が奪い合う、相続争いほど見苦しく愚かなことはありません。
相続は、嘘のつけない瞬間です。自分に一番正直になれる瞬間です。奥に潜んでいた人間性が一気に表に出てきます。いくら立派なことを言っていても、社会的地位があっても、この時ばかりは隠すことができません。それが自分の本当の姿です。
ある相続案件の処理が終わりました。相続人は兄弟4人です。
長男夫婦が親の介護をし、最後を看取りました。
父親は全財産(自宅と多少の預金)を長男のAさんに相続させるとの公正証書遺言を残しておりました。他の兄弟は生前贈与を受けており、遺産や介護などの寄与を考えれば妥当な遺言と思いました。だが、兄弟のBさんが一人だけこの遺言に納得しません。


もしこのまま遺言を執行してしまったら、遺留分減殺請求をしてくる可能性があります。相続を法律問題にしてしまったら、兄弟の縁は切れてしまい、二度とつながることはありません。
相続人の真の幸せを願い、自分の全人格をかけ、糸一本でもよいから縁をつなげておくことに全力を尽くします。
Aさんには、遺言を放棄し遺産分割での話し合いで問題を解決することをアドバイスしました。
私のアドバイスを受け容れてくださり、一歩二歩と譲ってくれました。数100万円をBさんに代償金として支払い、Aさんは自宅を相続し、遺産分割は無事終了しました。
奥様は、ご主人の相続には一切口を出しませんでした。
遺産分割終了後のAさんの表情は淡々としていました。恨みの念など持っていません。Aさんの広い心が争いを防ぎました。
見事な相続に心のなかで拍手です。このご夫婦には良きことが雪崩のごとく起きるでしょう。
一介の不動産屋としてこの10年間色々な相続案件を手がけてきました。争いの渦に巻き込まれたこともありました。相続人が譲り合う感動的な場面にも出合いました。
感謝があれば譲れます。欲得で争う人には感謝の気持ちがありません。親の財産をもらうのは当たり前だと思っています。
争って金持ちになっても幸せにはなれません。財産と人の幸せは比例するとは限りません。相続は譲った人が必ず幸せになります。
感謝の気持ちと譲る心は、幸せを生む「打ち出の小槌」です。

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