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■野口レポート

No.123 攀念智(はんねんち) (平成18年12月)

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相続対策の基本は、安心・簡単・長続きです。なまじのテクニックでこねないことです。相続対策が鍵山秀三郎さんと符合していることに気がつきました。答えは「凡事徹底」です。簡単なことを徹底してやる。シンプルイズパーフェクトです。
「ひとつ拾えば ひとつだけ きれいになる」氏は掃除を哲学の域にしてしまった人です。氏の“日めくりカレンダー”に「攀念智をもたない」の言葉があります。
「攀念智」とは、人を恨む、憎むという想念の意。人を恨む、憎むという想念は、自分のエネルギーをすべて奪います。攀念智を抱いた人が不幸になります。〈カレンダーより〉
私はこの言葉を常に心のなかに留め置いて仕事をしています。
相続は恨み辛みの生じやすい分野です。一度争いが生じたら深い遺恨がのこります。そんな時「攀念智」の話をします。
人を恨み憎むには大きなエネルギーが必要です。このエネルギーを引き出そうとすると、交感神経の動きが乱れ免疫力が低下し、健康や精神の安定が保てません。この事実はすでに現代の臨床医学で証明されています。
親しい友人のK君がいます。弱電関係の小さな会社を経営しています。数年前、ある取引先の手形が不渡りになりました。


この取引先の社長Aさんとは個人的にも信頼関係にある仲でした。
Aさんは倒産するのを知っていて仕事を発注してきました。
零細業にこの不渡りは深手でした。買ったばかりの新車を処分、生命保険も全て解約しました。だが、あと1000万円ほど不足です。何とか銀行の融資を取りつけ連鎖倒産は免れました。
Aさんは自己破産をしました。そのAさんから毎年彼のところへ年賀状が届きます。彼はそれ以後、年賀状を一度も出していません。「倒産を承知で発注してきたのが許せない。ハガキを買う金があるなら、たとえ50円でも返すのが筋だろう」と恨んでいます。
Aさんにもそれなりの事情があったはずです。毎年届く一方通行の年賀状は自分にできる精一杯の詫びの印かも……。
私は彼に「攀念智」の話をしました。「お前なあ~人を恨めば必ず自分に還るんだ、年賀状を出してやれよ」彼は素直に話を聞いてくれ、戸惑いながらも年賀状を書きました。それを受け取ったAさんの心境はいかほどか……。
年賀状を出したことで彼の気持ちが変わりました。Aさんを許す気になってきたそうです。年賀状を出して本当によかったとお礼を言われました。不渡手形の借金もこの10月で終りました。頑張った彼をたたえ、2人でささやかな祝杯をあげました。
「攀念智」は、とてつもないエネルギーを消耗します。どこかで断ち切らねばいけません。ちなみに、仇討免状があった昔でも、仇討の仇討は禁止され、恨みや仇討ちの連鎖を防いでいたのです。

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