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■野口レポート

No.153 相続人の確定 (平成21年6月)

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相続人様から「相続コーディネート」の依頼を受け、最初にすることは相続財産の棚卸しと相続人の確定です。
棚卸しで相続税課税の有無(名義預金に注意)を調べます。遺産が相続税基礎控徐のなかに収まれば申告義務はありません。
基礎控除を超えた遺産には相続税が課税されます。超えた額が少なければ税理士をセットし、小規模宅地の特例等で財産の評価を減じ、相続税の申告をすることで相続税は課税されません。
相続税が課税されない人、申告することで相続税が課税されない人、相続税が課税される人、相続にはこの3通りがあります。
同時に相続人の確定作業も進めます。司法書士や行政書士などの専門職にお願いし、被相続人(故人)に生殖能力が生じた頃まで戸籍をさかのぼります。難度と責任の重い力仕事です。
この確定作業で予期せぬ相続人が見つかることがあります。遺産分割は多数決では決まりません。共同相続人全員の合意が必要です。
1人でも相続人が欠けていた遺産分割は無効となります。
生前の相続対策には大きく分けて、「遺産分割対策」「相続税納税対策」「相続税節税対策」があります。ところが、この3つの対策は性質が異なり同じ方向を向いてくれません。どれを優先するか見極めることが重要です。ここを誤ると相続対策は失敗します。


数年前にAさんから相続対策の相談を受けました。兄弟姉妹の仲もよく、遺産分割や相続税納税の心配もありません。相続税を減らす節税対策を優先することにしました。
仕事を受けるにあたり、依頼者様に推定相続人の確定作業をすることを伝えました。Aさんはそんな必要はない、子どもは私達以外にはいないから、大丈夫とのことでした。
生前の相続対策で推定相続人の確定は必ず必要です。作業を進めると、推定被相続人のおばあちゃんが再婚で前婚者との間にBさんがいることが判明しました。Aさんには青天の霹靂です。
コンサルタントの頭のなかには、遺言作成と遺留分がよぎります。だが、その前にAさんにお伝えする大事なアドバイスがあります。
Bさんがいることを今まで伏せてきた、おばあちゃんの心情を察してあげることです。この事実を子ども達が知ったと分かれば、おばあちゃんは辛い思いをするでしょう。知らぬふりしてそっとしておくのもおばあちゃん(母親)への思いやりです。
予期せぬ推定相続人の発覚で、遺言作成等の遺産分割対策が優先になりました。おばあちゃんは優しい人です。まだフタは開いて(相続開始)おらず、異父兄弟にもお会いしていません。だが、おばあちゃんの血筋ならBさんは優しい人のような気がします。
遺言を執行しないで話し合いで解決できれば、新たな良縁が生まれる可能性もあります。拒否するのではなく、受け入れてしまう発想も相続の実務では必要です。

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